高尿酸血症と痛風
<痛風>
痛風とは体内の尿酸が過剰になり、尿酸の結晶が沈着して足の親指の付け根や足首の関節に急激に炎症が起こり、赤く腫れ、激痛となる状態です。
<代謝>
食品から摂取されたプリン体は、細胞の代謝・増殖などに利用されたり遺伝子DNAの原材料になります。
新陳代謝が進むと古い細胞のDNAからプリン体が放出されます。
プリン体は主に肝臓で分解され尿酸となり,一時的に体内に溜め込まれた後,尿や便として排泄されます。
<高尿酸血症>
高尿酸血症とは、腎臓からプリン体や尿酸を十分に排泄出来ない状態で、血清尿酸値が7.0mg/dl以上を超えている状態。成人男性の約20%に認められ、高尿酸血症の推定患者数は1,000万人超。30〜40歳代男性の3割が高尿酸血症。痛風の患者数は、推定約110万人。有病率は,男性30歳以降では1%を超えていると推定されます。
「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」(日本痛風・尿酸核酸学会)から参照
女性は女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあり50歳未満で1.3%と低いが、閉経後の50歳以降では3.7%と増えます。
<原因>
原因は、プリン体の過剰摂取による尿酸の産生過剰や排泄の低下によります。
激しく運動後や、大量のエネルギーを使ったときにも、プリン体から尿酸が急激に生成されます。
<合併症>
尿酸の結晶は、腎臓に付着して腎機能障害や尿管結石、動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞のリスクになります。
<原因>
高尿酸血症は食事や飲酒などの生活習慣が原因
です。
<治療>
・尿酸排泄促進薬と生成抑制薬があります。尿酸排泄促進薬にはドチヌラド(ユリス)、ベンズブロマロン(ユリノーム)、プロベネシド(ベネシッド)など。
尿酸生成抑制薬としてはアロプリノール(ザイロリック、アロプリノーム)、フェブキソスタット(フェブリク)。
尿路結石、腎障害合併時には尿酸生成抑制薬が第1選択となります。
日本では尿酸合成過剰型が約20%、尿酸排泄低下型が約60%、両者の混合型が約20%です。
尿路結石がある場合には、酸性尿改善薬(クエン酸カリウム(ウラリット)・クエン酸ナトリウム)を使います。尿をアルカリ化する牛乳、野菜、海草、果物を積極的にとり水分を多くとることも重要です。
痛風発作時には、鎮痛剤やコルヒチンを服用します。
・プリン体が多い食品を制限し、水分は2リットル/日以上を飲み、アルコールはビールなど減らします。
・ひじきわかめ昆布などの海藻類、野菜、キノコ類をよくとり酸性尿をアルカリ化すると尿酸を排泄されやすくします。
・適度な有酸素運動
<参考>
プリン体が多い食品
干物、レバー、ウナギ、ほし椎茸、鰹、ロース、ヒレ
スープ(ラーメン、うどん、チャンポン
プリン体が、少ない、ソーセージ、ウインナー、豚、牛、鶏、乳製品、野菜
https://www.ohori-pc.jp/wp/?p=13805
尿酸値が高いまま5~10年も放っておくと、痛風になります。
1992年の東京女子医大の調査では男性が98.5%、女性は1.5%でした。女性ホルモンにより腎臓からの尿酸の排泄を促されます。閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値は少し上昇します。