緊張型頭痛
- 疫学
有病率20%、慢性緊張型頭痛は3%。
- 症状
30分~7日間持続する頭痛で、両側性に後頭部を中心に頭全体的に締め付け感(非拍動性)中等度の頭痛があり、日常的な動作(歩行、階段昇降)により増悪せず、悪心や嘔吐はなく、光過敏や音過敏はあってもどちらか一方のみ。夕方や週末にかけて増悪する。肩や首こりを伴い、目の痛み、浮遊性のめまいや疲労感を伴う。温めると改善する。日常生活支障が出ることは少ないです。
- 原因
精神的なストレスや肉体的なストレス、顎関節症、不安、抑鬱、長時間のPC作業、デスクワーク、姿勢の悪さや異常、目の疲れ、枕の高さ
- メカニズム
長時間の前傾姿勢などで首や肩の筋肉の負担がかかり、血流が悪くなり、血管に老廃物などが溜まること痛み物質であるプロスタグランジンなどが産生されて頭痛が起こる末梢性の因子や筋膜から三叉神経を介して中枢を感作するとする中枢性の因子が関与すると考えられています。
精神的あるいは身体的ストレスにより後頸部の筋肉が緊張し頭痛が起こると考えられています。
発生頻度により、緊張型頭痛は以下のように分類されます。
①反復性緊張型頭痛1ヵ月に15日未満
①-1稀発緊張型頭痛 1ヵ月に1日未満(年間12日未満 )
①-2頻発反復性緊張型頭痛1ヵ月に1日~14日まで(年間12日以上180日未満)
②慢性緊張型月に15日以上の(年間180日以上)反復性緊張型頭痛は末梢性要因(頭のまわりの筋肉の異常)が役割を果たしており、筋の緊張が亢進して痛みに敏感になっていると考えられています。
一方、慢性緊張型頭痛においては中枢性要因(脳の筋肉の緊張コントロールや痛みを感ずるシステムの異常)が関係しているといわれております。要因として筋肉をリラックスする能力に欠け,かつ痛みに感じやすくなっているためであると考えられています。
- 診断
X線で頸椎のstraight neck(前湾の消失)。
- 治療
A)生活指導局所を温める。
入浴・ホットパック・マッサージ。姿勢を正し、軽いストレッチなどの肩こり体操をする。適度の運動は有効です。枕を低く、無くてもいいが、バスタオルなども2-3枚折って枕の替りとする。
B)薬物療法
急性期には鎮痛剤、抗不安薬、筋弛緩剤を使用します。慢性期には予防薬としてアミトリプチリンやSSRIなどの抗うつ薬を使用することがあります。
■急性期
①NSAIDs屯用 (Grade A)
アセトアミノフェン 500mg(2錠400mg)
イブプロフェン 200mg-800mg
ロキソプロフェン 60mg 筋弛緩作用、筋肉をほぐす作用
ナプロキサン 300mg
ジクロフェナク 25mg(1/2~4錠)
②抗不安薬(Grade B)
アルプラゾラム 0.4mg-1.2mg
エチゾラム 0.5mg-1mg
ジアゼパム 2-5mg
ロフラゼプ酸エチル
③筋弛緩薬
チザニジン 1mg 3mg-6mg3×(Grade B)
エペリゾン 50mg 150mg3×(Grdade C)
④漢方薬
五苓散
■慢性期
予防薬
①三環系抗うつ剤
アミトリプチリン(Grade A)
②SSRI,SNRI
パロキセチン
③抗てんかん薬
トビラマート 50mg-200mg 1×vds
④漢方薬
※生活改善
①頭痛体操
②枕低くする