おりものと性病検査(STD)
性感染症(STD)
厚労省発表 令和1年(定点報告)
- クラミジア: 13,274
- 性器ヘルペス: 5,893
- 梅毒: 2,255
- 尖形コンジローマ: 2,150
- 淋病: 1,738
注意:ヘルペス以外はやや男性が多いが、淋病だけ4倍と男性が多い。
※定点報告とは、感染症定点医療機関(全国約1,000カ所の産婦人科等医療機関)が届出するもの
主な性感染症
膣トリコモナス症
下着、タオル、便器、浴槽での感染の可能性があります。よって、性行為の経験のない女性や幼児にも感染することがあります。
性器カンジダ
経験者: 20%、その内年に2回以上繰り返す人は40%
カンジダの原因菌であるカンジダ菌は、我々のからだにいる常在菌の一種です。このカンジダ菌が異常増殖して、性器周辺に炎症やかゆみなどの諸症状をきたす病気を『性器カンジダ(カンジタ)症』または『膣カンジダ』と言います。以下の原因でカンジダが異常に増えると症状がでます。よって必ずしも性病ではなく、性行為がない小児が感染することがあります。
原因: 免疫機能の低下(疲労、ストレス、妊娠)、風邪等で抗生物質を使用、月経前、糖尿病、性行為
症状: おりもの(酒粕様、ヨーグルト、カッテージチーズのように白濁から、黄色)、外陰部のかゆみ、発赤、浮腫み、痛み、熱感、性行痛
鑑別疾患: 細菌性腟炎、クラミジア、淋病
治療: 抗真菌剤の膣錠挿入(7日間)とクリーム
性器クラミジア感染症
感染者との粘膜同士の接触や、精液、腟分泌液を介して感染します。オーラルセックスでは、咽頭(のど)へも感染します;クラミジア咽頭炎。
クラミジアの特徴
- クラミジアは世界中で性感染症の内もっとも多い
- 性行為やオーラルセックスで感染し子宮頸管炎の原因となる。
- 腹腔内感染すると骨盤内炎症症候群(PID)を呈し、腹痛や妊娠しにくくなる原因、流早産の原因になる事がある
- 感染後1-3週でクラミジア子宮頸管炎を発症するが、症状に乏しき(約50%は無症状)、帯下が増量するだけのことが多い
- セフェム系抗生剤が効かない扁桃炎や咽頭炎の1/3にクラミジアが存在する
- 10-20代女性に30%にクラミジア感染が見られる
-
日本には100万人以上の感染者がいるといわれてます。
妊婦検診において正常妊婦の3~5%にクラミジア保有者がみられる。2015年国内の妊婦約32万人で性器クラミジア」に2.4%が感染していることが、公益財団法人「性の健康医学財団」が報告。
妊婦のクラミジア感染率は、20代前半で約9%、20代後半で約4%でった。
妊娠検査の時に同時に 行った子宮頸管部からのクラミジア検出率です。 既婚の一般家庭夫人の20歳代前半の陽性率は 1人/15人、20歳代後半で1人/30人となって います。既婚の16~19歳では1人/5人であった。
また、平成18年のある県の大学および専修職業学校の男女学 生における性器クラミジアの有病率は 8.3%(女性 9.1%, 男性 7.0%)であった。年齢別感染率:女性
15-19歳:18%
20-24歳:33%
25-29歳:22%
感染率50%と高く、半数は無症状(女性では80%が無症状)です。
咽頭クラミジアについて
特徴
- 性器からクラミジアが検出された方の男性咽頭クラミジア検出率3~12%(淋菌12~30%)
- 性器からクラミジアが検出された方の女性咽頭クラミジア検出率10~26%(淋菌33~70%)
感染経路: デイープキッスやオーラルセックスで感染する。
症状: クラミジア咽頭炎は、咽頭痛や発熱などの症状がほとんど無い。のどの痛みや違和感、発熱、腫れを認めることがあります。咽頭炎と診断された後、内服の抗生剤等でもなかなか症状が改善しない人はクラミジアや淋病感染の可能性がある。
検査方法: 喉の奥を綿棒で拭って検査したり口腔内のうがい液を検体として検査する
治療方法: アジスロマイシン等抗生剤内服 1回のみ内服(1日)※妊婦でも使用可能。2-3週後効果判定が必要である。
検査方法: 咽頭クラミジア検査:SDAまたはPCR法
性器ヘルペス
オーラルセックスでの感染もみられます。
尖圭コンジローマ
性行為でなくても皮ふや粘膜の傷口から感染することもあります。オーラルセックスでの感染もみられます。
20代の男女に多くみられ、全国で約3.9万人が罹患する性感染症(STD)の一種です。
原因:性行に等でヒトパピローマウイルス:HPV(6.11型)により性器が感染します。
後発部位:外陰、肛門周囲(膣壁)。
症状:いぼ状、入眠困難 有登場の腫瘤が多発(単発あり)し、症状はないこともありますが、かゆみや痛みを感じることがあります。
潜伏期間:3週間から8ヵ月(平均2.8ヵ月)。
治療:
- べセルナクリ―ム外用(隔日で局所に夜間塗布し、翌朝洗い流します)
- 凍結療法
- 電気焼灼
- 炭酸ガスレーザー蒸散
- 外科的切除
予防: 9価HPVワクチン(シルガード9)は9種類のHPV(HPV6、11、16、18、31、33、45、52、58型)の感染を予防することができますが、尖圭コンジローマも予防できます。
梅毒
オーラルセックスでの感染もみられる。口に傷があればキスでも感染します。
梅毒の歴史
コロンブスがアメリカからヨーロッパに持ち込んだというのが通説。イスパニオラ島(ハイチ島)からもち帰り、1493年スペインで流行。1495年、イタリアで大流行し、世界中に広がったら。日本には1512年、日明貿易や和冦経由で梅毒が伝来。「唐瘡」や「琉球瘡」などと呼ばれた。江戸時代に爆発的に広がり、第二次大戦前後には年間10万人になったが、大戦後ペニシリンの普及で急速に減少し、1990年代には年間500人程度の発生にまで減少。しかし、2017年には5820人に増加。過去5年間で6.7倍に増えている。
梅毒の症状
-
- 第1期 3-9週(3週間以降は採血検査可能)
- 初期硬結: 感染した場所(性器、肛門、口など)に、直径1cの赤い痛みのない硬結、潰瘍などが出現。数週間で症状は消失
- 硬性下疳: 痛まない硬い(軟骨様)潰瘍を形成。
- 6週間より、両側鼠径部の所属リンパ節が痛まず硬く腫張。3週間ほどで消退。
- 女性の好発部位:子宮膣部、大陰唇・小陰唇周辺の皮膚
- 第2期 早期梅毒 3ヶ月以上
- バラ疹: 体幹、手掌、足底や顔面に5mm~20mmの薄い紅斑出現し、数週間~数ヶ月で消失
- 梅毒性丘疹: 暗紅色の痒みのない5mm~10mm丘疹が顔面、体幹、四肢、両手足の裏に多数・散発的に発生
- 粘膜疹: 口唇、口腔内に境界明瞭な灰白色斑、びらん、白苔や潰瘍を生じる。
- 3期 晩期 3-10年
- ゴム腫: 皮膚・骨・筋肉、肝臓や腎臓などにゴムのような弾力のある腫瘍(ゴム腫)ができる。
- 4期 後期梅毒 10年以上
- 心臓血管系、中枢神経系が侵され、大動脈瘤形成、大動脈破裂、進行麻痺、認知症などの症状が現れ、死に至る
検査のタイミング: 梅毒 3- 6週
潜伏期間: 10日- 3月
梅毒検査
STSとTP抗体を併せて行う。
梅毒血清反応には、カルジオリピン、レシチンのリン脂質を抗原とする脂質抗原検査(STS)がある。その一つのRPR(RapidPlasmaReagin)法は試験管内やカード等の上で抗原と血清を反応させて、凝集をで判定する。梅毒感染後2~5週でSTSが陽性となる。他の炎症性疾患や自己免疫性疾患などでも陽性を示す生物学的偽陽性(BFP)が5~20%ある。
一方、梅毒トレポネーマ(TP)由来の抗原を用いるTP抗体、TPHA法やFTA-ABSは特異性が高く、偽陽性率は0.1~0.5%といわれている。
感染後3か月以降(STSの2週間後)TPHAが陽性となる。治癒後も長く陽性が続く。
梅毒の診断ではSTSであるRPR法定性とTP抗体を併せて行い、陽性の場合は定量検査を行う。治療後の効果判定にはRPR法定量を定期的に追跡して8倍以下に低下することを確認する。
治療
ペニシリン内服が有効。第1期梅毒では2~4週間、第2期梅毒では4~8週間、1日3回の服用が必要。
- 第1期 3-9週(3週間以降は採血検査可能)
HIV感染
オーラルセックスでの感染もみられます。
性病検査のタイミング
検査項目 | 検査のタイミング | 潜伏期間 |
---|---|---|
クラミジア | 1-5日 | 1-3週 |
淋病 | 2-6日 | 2日-1月 |
梅毒 | 3-6週 | 10日-3月 |
A型肝炎 | 2-7週 | 15-50日 |
B型肝炎 | 6週 | 4-6週 |
C型肝炎 | 8-9週 | 2-12週 |
HIV抗体テスト | 1-3月 | 2週 |
HIVRNAテスト | 9-11日 | - |
カンジダ | - | 2-7日 |
トリコモナス | - | 10日(3日-4週) |
尖圭コンジローマ | - | 1-3月 |
口唇,性器ヘルペス | - | 2日-3週(10日) |
性病検査(自由診療) 料金表
健康保険が適応になる場合もあります。お尋ねください。
性病検査 | 価格(円:税込) | Examination for STI | Price(YEN including tax) |
---|---|---|---|
クラミジア頸管炎あるいは尿道炎 | 3,000 | Chlamydia cervicitis or urethritis | 3,000 |
淋病 | 3,000 | Gonorrhea | 3,000 |
クラミジア&淋病 | 4,000 | Chlamydia+Gonorrhea | 4,000 |
梅毒 | 4,100 | Syphilis | 4,100 |
HIV | 4,100 | HIV | 4,100 |
セットA(クラミジア、淋病、梅毒、HIV) | 12,200 | Set(Chlamydia,Gonorrhea,Syphilis,HIV) | 12,200 |
咽頭クラミジア | 3,000 | Chlamydia pharyngitis | 3,000 |
咽頭淋病 | 3,000 | Gonococcal pharyngitis | |
咽頭クラミジア&淋病 | 4,000 | Chlamydia+Gonorrhea for pharynx | 4,000 |
カンジダ、トリコモナス | 3,600 | Candida, Trichomonas | 3,600 |
セットB(クラミジア&淋病(膣と口腔)、梅毒、HIV、カンジダ、トリコモナス) | 19,800 | SetB(Chlamydia,gonorrhea(cervix or urethra & pharynx),syphilis,HIV,Candida,trichomonas | 19,800 |