群発頭痛に在宅酸素療法は有効
群発頭痛は、群発期には一日1回から数回の激痛が数週間から3ヶ月くらい続きます。特効薬のイミグランも保険で処方できる量が限られ、ワソラン、デパケン、ミグシスなどの予防薬の他プレドニンでも改善に時間がかかる場合に有効です。2018年度の診療報酬改訂で群発頭痛患者における在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)の保険適用が認められるようになりました。大濠パーククリニックでも2年前から利用開始しています。平均1-2ヶ月の利用者が多いです。
在宅酸素の群発頭痛への利用は、1952年にHortonが提唱してから広く使用され,多くの研究で群発頭痛の急性期治療薬として評価されています。
Horton BT. Histaminic cephalgia. Lancet1952; 72: 92–98.
日本頭痛学会から引用
Kudrow1)によるとフェイスマスク側管から7L/分の酸素吸入後,7分以内に62%で改善がみられ,さらに8~10分後に31%で改善がみられました。
1) Kudrow L: Response of cluster headache attacks to oxygen inhalation. Headache 1981; 21(1):1-4.
五十嵐らが群発頭痛患者(N=23)の急性期頭痛発作時に対して,酸素(フェイスマスク側管より吸入,7L/分)の投与後,17例で平均3.1±3.1分後より頭痛の改善がみられ,平均13.5±6.2分後に頭痛が消失したと報告しています2)
2) 五十嵐久佳,坂井文彦,神田 直,田崎義昭.群発頭痛発作に対する酸素吸入療法について.日本内科学雑誌 1988; 77(2): 267.
酸素の作用機序はいまだ明確でない点が多いが,これまでの研究から,①脳血管の収縮作用,②神経原性炎症の緩和作用,③副交感神経系亢進の緩和作用などが考えられています3).
3) Petersen AS, Barloese MC, Jensen RH: Oxygen treatment of cluster headache: a review. Cephalalgia 2014; 34(13): 1079-87.
現在、在宅酸素療法は、空気中の酸素を濃縮する酸素濃縮装置が利用されています。 現在は吸着型が使用され,酸素濃度は88から95%まで高くなり,わが国のHOTの約95%は酸素濃縮装置が使用されています。
在宅酸素療法は保険適応で約7300点(三割負担で22,000円)がかかります。業者の方が機器を自宅まで運んでくれます。