cluster-headache
群発頭痛
群発頭痛ってどんな頭痛?
群発頭痛は、片側の目の奥や側頭部に激しい痛みが生じる一次性頭痛で、発作は15分から3時間続き、数週間から数カ月にわたる群発期と無症状の寛解期を繰り返します。痛みは自律神経症状(結膜充血、流涙、鼻閉など)を伴い、治療にはスマトリプタン注射や酸素吸入が有効です。
どれくらいの人が発症している?
全人口の約0.1%が罹患していると報告されています。具体的な有病率は、10万人あたり56~401人程度と報告されています。
20~40歳代の男性に発症することが多く、男性における有病率は女性の3~7倍(85%は男性)です。最近は女性も増えてきています。
どんな症状があるの?
一側性に眼窩から眼窩上部、側頭部に目をえぐられるような激しい痛みが15分~3時間以内続く、1-2ヶ月以内毎日のように同じような時間帯に起こる(入眠後3時間以内)。隔日から1日8回まで発作が起こることがある。
発作は目の充血、流涙、縮瞳、眼瞼下垂、鼻汁や鼻閉、顔面の発汗などの自律神経症状を伴い、痛みで落ち着かず(頭をかきむしったり、ぶつけたりじっとしていられず動き回る)興奮した様を呈する。発作期間中にアルコール飲酒で必ず誘発されます。
なぜ群発頭痛が起こるのか?
三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)に分類される一次性頭痛の一種であり、その発症メカニズムにはいくつかの要因が関与していると考えられています。ただし、完全には解明されておらず、現在も研究が進められています。
視床下部の関与
群発頭痛の発症には、脳の視床下部が重要な役割を果たしているとされています。視床下部は体内時計を司る部位であり、群発頭痛患者では24時間周期の生体リズム(サーカディアンリズム)に関連するホルモン(例:メラトニン)の分泌異常が確認されています。この異常が視床下部の機能に影響を与え、頭痛発作を引き起こすと考えられています。
三叉神経血管系の活性化
群発頭痛の発作期には、三叉神経血管系が活性化されることが知られています。この活性化により、三叉神経が刺激され、激しい痛みが生じます。また、三叉神経の刺激は副交感神経を活性化させ、涙や鼻水、目の充血といった自律神経症状を引き起こします。
血管の拡張と炎症
群発頭痛では、目の奥を通る内頸動脈が拡張し、周囲の神経や組織に圧力をかけることで痛みが発生すると考えられています。この血管拡張は、炎症性物質の放出や神経の過敏化を伴うことが多く、痛みをさらに増幅させます。
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の関与
片頭痛と同様に、群発頭痛でもCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)が関与していることが示されています。CGRPは血管拡張を引き起こす神経伝達物質であり、群発頭痛の発作中にそのレベルが上昇することが確認されています。このため、CGRPを標的とした治療法が研究されています。
誘発因子と体内時計の乱れ
群発頭痛は、アルコール摂取や喫煙、気圧の変化、不規則な睡眠などによって誘発されることがあります。また、体内時計の乱れが三叉神経を刺激し、頭痛発作を引き起こす可能性が指摘されています。
群発頭痛の中にも種類があります
■反復性群発頭痛
群発頭痛発作が7日~1年間続く群発期があり、群発期と群発期の間には少なくとも1ヶ月の寛解期(頭痛のない時期)があります。
■慢性群発頭痛
群発頭痛発作が1年間を超えて発現し、寛解期がないか、または寛解期があっても1ヶ月未満です。
どうやって診断するの?
主に問診と国際頭痛分類第3版(ICHD-3)の診断基準に基づいて行われます。また、必要に応じて画像検査を実施し、他の疾患を除外することが重要です。
診断基準(ICHD-3に基づく)
以下の条件を満たす場合、群発頭痛と診断されます:
- 発作の回数:B~Dを満たす発作が5回以上ある。
- 痛みの特徴:
- 一側性で、眼窩部、眼窩上部、または側頭部に発生。
- 重度から極めて重度の痛みが15~180分間持続(未治療の場合)。
- 随伴症状:以下の1つ以上を伴う。
- 結膜充血または流涙。
- 鼻閉または鼻漏。
- 眼瞼浮腫。
- 前頭部および顔面の発汗。
- 縮瞳または眼瞼下垂。
- 落ち着きのない、または興奮した様子。
- 発作頻度:1日あたり1回~8回の頻度で発生。
- 他の疾患の除外:他の頭痛疾患の診断基準を満たさない。
発作時の治療方法は?
急性期にはスマトリプタンの皮下注射が有効ですが、鎮痛剤はあまり効きません。
頭痛発作の期間を短くするためにベラパミル、プレドニンやバルプロ酸を併用します。
A.急性期(発作時)
- 鎮痛剤はインドメタシン、他のNSAIDs無効
- トリプタン製剤
スマトリプタン皮下注射が推奨されています。自己注射をいます
予防としての治療は?
群発頭痛の予防療法について、以下のような治療法があります:
- カルシウム拮抗薬(ベラパミル)による治療
- 1日240mgを3回に分けて服用することから開始します
- 発作が起こらない緩解期に入った場合は、1日120mgまで減量します
- 減量後1週間発作がなければ、慎重に中止することができます
- 注意点:便秘、心拍が遅くなる、血圧が下がるなどの副作用に注意が必要です
- ステロイド薬(プレドニン)による治療
- ベラパミルが効果不十分な場合に併用することがあります
- 1日40mgから開始し、3日ごとに段階的に減量していきます
- 1-3日目:40mg/日(2回に分けて服用)
- 4-6日目:30mg/日
- 7-9日目:20mg/日
- 10-12日目:10mg/日
- 抗てんかん薬(バルプロ酸)による治療
- 上記の治療でもコントロールが難しい場合に検討します
- 1日400-600mgを服用します