椎骨動脈解離

椎骨動脈解離は、首の血管（椎骨動脈）の内側の層に傷ができ、そこから血液が血管の壁の中に流れ込むことで起こる状態です。40歳代に多く見られ、10万人に2～3人の割合で発症します。日本では頭蓋内の動脈解離の約63.4%を占める重要な疾患です。

椎骨動脈解離は、発症から数日以内に以下のような重篤な合併症を引き起こす可能性があります：

• くも膜下出血
• 脳梗塞（特に延髄部分）

初期症状

• 後頭部やうなじの激しい頭痛
  • 寝違えや肩こり程度の軽い痛みから
  • 耐えがたい激しい痛みまでさまざま

その他の症状

• めまい（特に回転性のめまい）
• 声のかすれ
• 飲み込みの困難（嚥下障害）
• 顔や体の感覚異常（温度や痛みを感じにくい）
• 平衡感覚の異常
• 視野の異常や視力低下

以下のような日常的な動作が引き金となることがあります：

• 首のマッサージ
• 首をひねって音を出す習慣
• 美容院での洗髪
• 車の後方確認
• 整体での施術
• スポーツ（特にゴルフや野球）
• 子どもの肩車
• 高すぎる枕の使用（12cm以上）

その他のリスク要因：

• 喫煙
• 高血圧
• 交通事故による首への衝撃
• 結合組織の病気

以下の検査により、正確な診断を行います：

• MRI/MRA検査：血管の状態を詳しく観察
• CT血管造影：血管の形や血流の状態を確認

基本的な治療

1. 安静治療（約1ヶ月必要）
2. 血圧管理
3. 抗凝固療法（血液を固まりにくくする治療）

状態に応じた治療

• 薬物療法
  • 抗血小板薬
  • 抗凝固薬
• 重症例では
  • 血管内治療
  • 外科的治療

日常生活での注意事項：

• 過度な首の運動を避ける
• 適切な高さの枕を使用する
• 定期的な血圧チェック
• 禁煙
• 首に負担のかかるスポーツは控えめに

以下の症状がある場合は、すぐに高度医療機関や救急外来を受診してください：

• 突然の激しい頭痛
• 持続する首の痛み
• めまいや吐き気を伴う頭痛
• 視覚の異常
• 体のしびれや麻痺