SINUSITIS

副鼻腔炎

副鼻腔炎の図

副鼻腔炎でどうして頭痛が起きるの?

副鼻腔炎(蓄膿症)による頭痛は、副鼻腔に膿が溜まることで引き起こされます。具体的には以下の2つのメカニズムによって痛みが発生します:

  1. 換気障害:副鼻腔内の空気の流れが妨げられることによる圧力変化
  2. 神経への圧迫:溜まった膿が周囲の三叉神経を圧迫することによる痛み

三叉神経と頭痛の関係

三叉神経は、おでこから顔全体に広がる重要な神経で、以下の3つの枝から構成されています:

  • 眼神経
  • 上顎神経
  • 下顎神経

副鼻腔炎では、特に上顎神経まで炎症が波及することで、眼の奥やおでこ周辺に痛みが生じやすくなります。

副鼻腔の構造と各部位の痛みの特徴

副鼻腔は顔の中に存在する複数の空洞で、それぞれ以下のような位置関係にあります:

  1. 上顎洞:ほっぺたの裏側
  2. 篩骨洞:両目の間
  3. 前頭洞:おでこの裏
  4. 蝶形骨洞:鼻の奥の最深部

副鼻腔の部位による痛みの違いは?

罹患している副鼻腔によって、痛みの現れる場所が異なります:

  • 上顎洞炎:
    • 頬部の痛み
    • 歯痛
    • 前頭部痛
  • 前頭洞炎:
    • 前額部の疼痛
    • 前頭部痛
  • 篩骨洞炎:
    • 眼の後方の痛み
    • 両眼間の疼痛
    • 「割れるような」前頭部痛
    • 眼窩周囲の腫れ
    • 涙が出やすい
  • 蝶形骨洞炎:
    • 後頭部痛
    • 頭頂部痛
    • 前頭部への関連痛

診断はどうするの?

画像診断

副鼻腔炎の診断には以下の検査が用いられます:

  1. CTスキャン(推奨)
    • 病変の部位や程度を的確に診断可能
    • 骨構造の評価に最適
    • 副鼻腔や固有鼻腔の粘膜肥厚を確認
  2. 単純レントゲン

診断基準

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、以下の条件を満たす場合に副鼻腔炎による頭痛と診断されます:

  1. 頭痛と副鼻腔炎の発症に時間的関連性がある
  2. 頭痛の増悪・軽快が副鼻腔炎症状の変化と相関する
  3. 副鼻腔の圧迫で頭痛が増悪する
  4. 片側性の場合、頭痛は副鼻腔病変と同じ側に生じる

治療はどうするの?

治療方法

副鼻腔炎(蓄膿症)の治療は、症状の程度や期間によって異なりますが、主に以下の3つの方法を組み合わせて行います:

1. 抗菌薬による治療

症状が現れてから間もない急性の場合と、長期間続いている慢性の場合で、使用する抗菌薬が異なります。

急性副鼻腔炎の場合

  • 一般的に5日間程度の抗菌薬治療を行います
  • アモキシシリン系やセフェム系などの抗菌薬を使用
  • 症状や経過に応じて、医師が最適な薬剤を選択します

慢性副鼻腔炎の場合

  • 長期的な治療計画を立てて対応します
  • 少量の抗菌薬を12週間程度継続することがあります
  • 定期的な経過観察を行いながら、治療効果を確認します

※抗菌薬治療を行う場合は、他のお薬との飲み合わせに注意が必要な場合があります。現在服用中のお薬がある場合は、必ず医師にお伝えください。

2. 粘液を薄める薬による治療

副鼻腔内に溜まった粘液を薄め、自然に排出されやすくするお薬を使用します。

  • 長期間安全に使用できる薬剤を選択
  • 水分補給と組み合わせることで、より効果的に粘液を排出

3. 漢方薬による治療

特に慢性の症状に対して、以下のような漢方薬治療を行うことがあります:

  • 鼻づまりや蓄膿の改善を目的とした漢方薬
  • 体質改善をサポートする漢方薬
  • 症状や体質に合わせて、最適な漢方薬を選択

治療のポイント

  • 症状の程度や期間によって、治療方法を組み合わせます
  • 生活習慣の改善も治療効果を高めるために重要です
  • 定期的な通院で、治療効果を確認していきます

お薬による治療以外の重要なポイント

  • 十分な水分摂取
    • こまめな水分補給で粘液を薄める効果が期待できます
    • 温かい飲み物は特に効果的です
  • 適度な湿度管理
    • 室内の湿度を50-60%に保つことをおすすめします
    • 乾燥する季節は加湿器の使用も効果的です
  • 規則正しい生活
    • 十分な睡眠
    • バランスの良い食事
    • 適度な運動
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