SINUSITIS
副鼻腔炎
副鼻腔炎でどうして頭痛が起きるの?
副鼻腔炎(蓄膿症)による頭痛は、副鼻腔に膿が溜まることで引き起こされます。具体的には以下の2つのメカニズムによって痛みが発生します:
- 換気障害:副鼻腔内の空気の流れが妨げられることによる圧力変化
- 神経への圧迫:溜まった膿が周囲の三叉神経を圧迫することによる痛み
三叉神経と頭痛の関係
三叉神経は、おでこから顔全体に広がる重要な神経で、以下の3つの枝から構成されています:
- 眼神経
- 上顎神経
- 下顎神経
副鼻腔炎では、特に上顎神経まで炎症が波及することで、眼の奥やおでこ周辺に痛みが生じやすくなります。
副鼻腔の構造と各部位の痛みの特徴
副鼻腔は顔の中に存在する複数の空洞で、それぞれ以下のような位置関係にあります:
- 上顎洞:ほっぺたの裏側
- 篩骨洞:両目の間
- 前頭洞:おでこの裏
- 蝶形骨洞:鼻の奥の最深部
副鼻腔の部位による痛みの違いは?
罹患している副鼻腔によって、痛みの現れる場所が異なります:
- 上顎洞炎:
- 頬部の痛み
- 歯痛
- 前頭部痛
- 前頭洞炎:
- 前額部の疼痛
- 前頭部痛
- 篩骨洞炎:
- 眼の後方の痛み
- 両眼間の疼痛
- 「割れるような」前頭部痛
- 眼窩周囲の腫れ
- 涙が出やすい
- 蝶形骨洞炎:
- 後頭部痛
- 頭頂部痛
- 前頭部への関連痛
診断はどうするの?
画像診断
副鼻腔炎の診断には以下の検査が用いられます:
- CTスキャン(推奨)
- 病変の部位や程度を的確に診断可能
- 骨構造の評価に最適
- 副鼻腔や固有鼻腔の粘膜肥厚を確認
- 単純レントゲン
診断基準
国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、以下の条件を満たす場合に副鼻腔炎による頭痛と診断されます:
- 頭痛と副鼻腔炎の発症に時間的関連性がある
- 頭痛の増悪・軽快が副鼻腔炎症状の変化と相関する
- 副鼻腔の圧迫で頭痛が増悪する
- 片側性の場合、頭痛は副鼻腔病変と同じ側に生じる
治療はどうするの?
治療方法
副鼻腔炎(蓄膿症)の治療は、症状の程度や期間によって異なりますが、主に以下の3つの方法を組み合わせて行います:
1. 抗菌薬による治療
症状が現れてから間もない急性の場合と、長期間続いている慢性の場合で、使用する抗菌薬が異なります。
急性副鼻腔炎の場合
- 一般的に5日間程度の抗菌薬治療を行います
- アモキシシリン系やセフェム系などの抗菌薬を使用
- 症状や経過に応じて、医師が最適な薬剤を選択します
慢性副鼻腔炎の場合
- 長期的な治療計画を立てて対応します
- 少量の抗菌薬を12週間程度継続することがあります
- 定期的な経過観察を行いながら、治療効果を確認します
※抗菌薬治療を行う場合は、他のお薬との飲み合わせに注意が必要な場合があります。現在服用中のお薬がある場合は、必ず医師にお伝えください。
2. 粘液を薄める薬による治療
副鼻腔内に溜まった粘液を薄め、自然に排出されやすくするお薬を使用します。
- 長期間安全に使用できる薬剤を選択
- 水分補給と組み合わせることで、より効果的に粘液を排出
3. 漢方薬による治療
特に慢性の症状に対して、以下のような漢方薬治療を行うことがあります:
- 鼻づまりや蓄膿の改善を目的とした漢方薬
- 体質改善をサポートする漢方薬
- 症状や体質に合わせて、最適な漢方薬を選択
治療のポイント
- 症状の程度や期間によって、治療方法を組み合わせます
- 生活習慣の改善も治療効果を高めるために重要です
- 定期的な通院で、治療効果を確認していきます
お薬による治療以外の重要なポイント
- 十分な水分摂取
- こまめな水分補給で粘液を薄める効果が期待できます
- 温かい飲み物は特に効果的です
- 適度な湿度管理
- 室内の湿度を50-60%に保つことをおすすめします
- 乾燥する季節は加湿器の使用も効果的です
- 規則正しい生活
- 十分な睡眠
- バランスの良い食事
- 適度な運動