糖尿病の診断と治療
糖尿病について
糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増えてしまう病気です。インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。
種類
・2型糖尿病:インスリン分泌不全とインスリン抵抗性による糖尿病
・1型糖尿病:インスリン欠乏による糖尿病
高血糖における症状
・喉が渇く、水をよく飲む
・尿の回数が増える
・体重が減る
・疲れやすくなる
診断基準
・空腹時血糖値(10時間以上絶食後の、早朝空腹時の血糖値)126mg/dL以上
・HbA1c 6.5%以上
出典:糖尿病情報センター
治療薬(HbA1cの低いものから高いものへ)
❶HbA1c 6-7%の時
メトホルミン(メトグルコ)
・用法:2-3回/日
・用量:500mg (→750mg) →1000mg →1500mg
・注意:まれに乳酸アシドーシスという重い副作用あり
・使用法:禁忌がなければ最初に単剤療法3か月後
・経過:目標A1cを達成できない場合、3~6ヵ月毎にA1cをモニタリングしながら以下の❷以降との併用を考える
❷DPP-4阻害剤(ジャヌビア)
・用量:50mg-100mg
・用法:1回、食前後どちらでも
・特徴:
- 食後高血糖に有効
- 低血糖リスクが少ない(血糖依存的に作用)
- 重篤な副作用が少ない
- 高齢者や肝・腎機能低下がある患者にも比較的安全
- 週1回の内服薬あり(ザファテック®、マリゼブ®)
・注意:GLP-1製剤と併用しない(作用機序が被るため)
・他のDPP-4:オザンビ、トラジェンダ、ベネトリードなど
❸SGLT2阻害剤(スーグラ、フォシーガ)
・用量:50mg-100mg
・用法:1回、食前後どちらでも
・特徴:
- 尿から糖が出る
- 体重減少(肥満患者によい適応)
- 心保護作用・腎保護作用あり
- 食前血糖も食後血糖も下げる
- 低血糖になりにくい
・注意点:
- 開始から数日間は尿量増加
- 尿ケトン体が陽性になる(正常反応)
- 腎機能低下で血糖降下作用が減弱
- 尿路感染症や性器感染症のリスク(特に女性)
❹GLP-1受容体作動薬(リベルサス)
・用量:3㎎→1ヶ月後7㎎、最大14mg
・用法:食事無関係
・特徴:
- 体重低下作用
- 低血糖少ない
❺従来からの治療薬
SU剤(アマリル、グリマクトン、ゴリアテなど)
・特徴:安い、古い、低血糖リスクあり
・用量:
- アマリール:1mg-6mg
- グリンダロング:1.25mg-3.75mg
αグルコシダーゼ阻害剤
・種類:ベイスン(ボグリボース)、グルコバイ
・用量:50mg-150mg
・効果:食後高血糖に効果
・特徴:低血糖リスクは少ない
・注意点:
- 食事の直前に内服
- 比較的多い副作用は消化器症状(腹部膨満感、放屁増加、下痢)
❻速攻型インスリン分泌促進薬
スターシス(ナテグリニド)
・効果:食後高血糖に効果
・特徴:スルホニル尿素薬と違い短期間で効果が切れる
・注意点:
- SU薬ほどではないが低血糖に注意
- 食事の直前に服用
- SU薬とは併用できない(作用機序が被るため)
※インスリン治療はおこなっていません。