大濠パーククリニック監修

頭痛の質問箱

  1. Q.トリプタン製剤は後発品はありますか?また、いくら位ですか?

    A.片頭痛治療
    薬(トリプタン製剤)の価格比較(3割負担時)

    ①スマトリプタン(一般名)
    イミグラン錠(先発品) 229円
    スマトリプタン錠(後発品) 99円
    イミグラン点鼻薬(先発品) 322円
    イミグラン注射(先発品) 930円

    ②ゾルミトリプタン(一般名)
    ゾーミッグ 錠(先発品) 235円
    ゾルミトリプタン錠(後発品) 122円

    ③リザトリプタン(一般名)
    マクサルト錠(先発品) 284円
    リザトリプタン(後発品) 84円

    ④エレトリプタン(一般名)
    レルパックス錠(先発品) 278円

    ⑤ナラトリプタン(一般名)
    アマージ錠(先発品) 275円

  2. Q.他院で治療してますが、治りません。転院したら、よくなりますか?

    A.他院で治療中でなかなか治らないので来た。他院で数年治療するが鎮痛剤だけ出されて毎日のように頭痛がある、などの方に対し頭痛外来では以下のように治療をしています。

    1.いつも薬を出されるだけで頭痛の回数が減らない。―予防薬使用や生活指導、頭痛ダイアリーでの行動パターンの解析を行い、頭痛の回数を減らす治療を行います。

    2. いつまで鎮痛剤を飲んでもいいのか?―月に数回以上鎮痛剤使用されると将来、肝臓や腎臓を障害される可能性が高くなります。鎮痛剤以外の片頭痛専用のトリプタン製剤や漢方薬の使用も検討します。

    3. 予防薬の副作用で困っている。眠くて仕事にならない。―予防薬やトリプタン製剤を眠りにくい薬剤等に変更します。起こりうる副作用の説明を行います。

    4. 説明が足りない。薬を飲む理由や種類がわからない。―診断根拠、診断名、予後、治療法及び想定される副作用を専用の用紙を用い説明します。

    5. 肩こりがあったので緊張型頭痛と診断されたが、薬が効かない、片頭痛ではないのか?―片頭痛の70%で肩こりを伴います。肩こりがあるから緊張型頭痛だとは診断はできません。詳細な問診等で診断します。

    6. 女性の群発頭痛はないと診断された。自分では群発頭痛と思うが?-最近は女性でも群発頭痛は増えてきてます。問診等で診断を確定し、治療します。

    7. CTやMRIの検査だけして治療は行われなかった。治療してほしい。―もちろん頭痛発作時の痛みを抑える治療をします。また、頭痛の回数が多ければ減らす治療をすることもあります。

    8. 妊娠を考えているが現在の薬を続けていいか明確な説明がない。―現在の月経状況を把握し、予防薬、トリプタン製剤を妊娠しても安全性が高いものにします。

    9. 授乳中なのに胎児や子供への影響の説明がない。―妊娠中や授乳中の胎児への影響が少ない薬の日本、アメリカ、オーストラリアなどの情報をもとに適切な薬を処方することが可能です。病院に対応可能かお尋ね下さい。

    10. アマージが効くと処方されたが効きにくい。他の薬の説明がなく薬を使っている。薬を変えれないか?―アマージは良いお薬ですが、効果が出るまでにやや時間がかかります(2-5時間)、もっと即効性のあるイミグラン、ゾーミッグ、マクサルト(30分くらい)やレルパックス(60分くらい)のお薬も検討してライフスタイルに合わせて処方します。

    11. 薬が効くまでの時間がかかる。もっと早く効く薬はないか。―効き始めるまでの時間はイミグラン、ゾーミッグ、マクサルト(30分くらい)やレルパックス(60分くらい)ですが、点鼻薬は15分、皮下注射は5分で効き始めます。

    12. 漢方薬を3ヶ月飲んでいるが一向に改善しないー予防薬をする治療をお勧めします。

    13. 説明が日本語なので、詳細が分からない。病院によっては英語、中国語、韓国語で、対応かのうで、それぞれの言語での、問診や説明資料を用意しています。直接病院に問い合わせて下さい。

    14. トリプタン製剤を飲んだ後吐き気がひどく薬も吐いてしまいます。―トリプタン製剤でも点鼻薬や皮下注射もあります。吐いても効果に問題はありません。

  3. Q.カフェインは片頭痛に良いですか?

    A.少量のカフェインは頭痛を緩和することもありますが、過剰のカフェインが片頭痛の誘因になることがあります。100mg/日を超えると頭痛を誘発する可能性が高くなります。200mg/日以上なら要注意です。

    主な飲み物のカフェイン含有量のグラフはこちら(PDFファイルで開きます)

  4. Q.交通事故受傷後、頭痛と吐き気、めまいが続きます。大丈夫でしょうか?

    A.交通事故でむち打ち(頸椎捻挫症)受傷後に吐き気を起こすことはよくあります。

    1. ストレスによる神経性胃炎や胃潰瘍
    2. 鎮痛剤(NSAIDs)の副作用
    3. バレ・リュー症候群です。

    その中で、バレ・リュー症候群は事故後、や交通事故受傷後しばらくして以下の自覚症状が持続します。頭痛、頭重感、めまい、耳鳴り、耳づまり、吐き気、眼のかすみ、視力低下(眼精疲労)、 脈の乱れ、息苦しさ 、かすれ声、喉の違和感、嚥下困難 、体のだるさ、しびれ、等です。原因は外傷に対する交感神経の過剰反応が考えられています。受傷直後ではなく2~4週間ほど経過してから現れることが多く、6ヶ月以上症状が続くことがあります。早期にリハビリテーションすることをお勧めします。

  5. Q.頭痛は女性に多いですか?

    A.1)片頭痛 男性:女性=1:3.6
    2)緊張型頭痛 男性:女性=1:1.5
    3) 群発頭痛 男性:女性=1:0.2

    群発頭痛だけ圧倒的に男性が多いです。しかし、女性の群発頭痛が増えてきて、男女差はなくなってきているようです。理由はわかりませんがストレスが関与している可能性があるようです。

  6. Q.帯状疱疹で頭痛は起こりますか?

    A.比較的稀ですがそれでも年に数人以上のケースで見られる頭痛の原因として帯状疱疹ウィルスによるウィルス感染があります。帯状疱疹は通常小児の時に水庖ウィルス感染で発症する『みずぼうそう』のことですが、成人になって免疫力が低下した時等に発症するものが帯状疱疹です。全身どこにでもできる可能性があり、首から頭にかけて発症することもあります。後頭部あるいは耳の後ろあたりで発生したものは後頭部痛と訴える方がおられます。最初は『ジカジカ』、『ジンジン』するような感覚で、皮膚症状はあまり見られませんが、その後皮膚が赤くなってきます。この状態で病院に来られると帯状疱疹かどうかの診断が難しいことがあります。ただし数日たつと水泡が形成され、またそれが破れることによって浸出液が見られ診断が確定されます。早期に治療(抗ウイルス剤内服)を始めることで症状も軽く早期に治癒することが可能です。また最近の研究で偏頭痛や群発頭痛の原因として帯状疱疹による感染が考えらられています。

  7. Q.睡眠中に頭痛が起こるんです、悪い頭痛ですか?

    A.頭痛で目が覚めるような頭痛はいくつかあります。

    ①睡眠時頭痛(その他の1次性頭痛に記載)

    ②睡眠関連頭痛[睡眠と関連する頭痛]
    睡眠中あるいは睡眠から目覚めた時に起こる頭痛を、「睡眠関連頭痛」と言います。頭痛外来の17%が夜間あるいは早朝に頭痛という、報告もあります。
    原因:不眠や過眠、むずむず脚症候群、うつ病や脳腫瘍、副鼻腔炎、アルコール、低血糖(子供にもある)が頭痛の原因のこともあります。

    ③睡眠時無呼吸症候群(SAS)
    イビキまたは睡眠時無呼吸症候群の患者の24%が、早朝頭痛頭を自覚すると言う報告もあります。頭痛は鈍痛で、倦怠感や寝不足感を伴うことが多いです。睡眠時の慢性的な酸素欠乏状態欠状態や高炭酸ガス血症が原因で脳そのものが腫れたり、脳の血管が広がりすぎるためと考えられています。

    ④高血圧
    高血圧の方に頭痛が起こりやすい原因はよくわかっていません。血圧が上昇し脳内の血管が急激に広がり、神経が刺激されることが原因とする説が有力です。

    ⑤片頭痛
    片頭痛の半数に睡眠時あるいは起床時の頭痛があります。
    片頭痛の誘因として、寝不足や寝過ぎがあります。睡眠不足からくる頭痛は、脳にストレスが溜まってしまうことからおこると考えられています。また寝すぎによる頭痛の原因は、体を動かさないことで血行が悪くなり大量のセロトニンが分泌され、血管が拡張することから起こると思われます。

    ■セロトニン
    セロトニンは太い血管を収縮させ、細い血管を拡張させます。セロトニンが減ると片頭痛が起こり、片頭痛の患者さんにセロトニンを投与すると片頭痛がなおる事から、開発された片頭痛の 特効薬であるトリプタン製剤は、セロトニン受容体に直接作用し、片頭痛の原因となる血管の拡張と炎症を抑えます。

    ■トリプトファン
    トリプトファンを多く含む食品は頭痛予防効果があります。トリプトファンとは、必須アミノ酸(食事から取る)の一種で、体内に摂取され、脳に届くとセロトニンとなります。食品中のタンパク質が多いほど多く含まれます。セロトニンを多く含む食品は肉、魚、豆、ナッツ、バナナ、ドリアン、マンゴー、牛乳、 豆乳 、ヨーグルト、チーズ、鶏卵、ゴマなど

    昼寝は頭痛の原因になりますが、若い(思春期)方で頭痛が楽になる場合があります。

  8. Q.子供の片頭痛特徴は何ですか?

    A.頻度:反復発作性頭痛のうち片頭痛が50%、緊張型頭痛は10%

    <小児の片頭痛の特徴>
    ① 持続時間が短い(1~72時間:半分以上は頭痛発作時間が5時間以内)
    ② 部位:両側性や片側性(両側性が多い)
    ③ 頻度 小学生で4%、14歳では男児6% 女児15%
    ④ 日中(特に朝)に起こり,夜間覚醒はほとんどない(20%は起床時,夜間覚醒は5%)
    ⑤ 小児の予後:60%改善(20%が発作消失、40%が発作軽快)、40%が不変あるいは増強
    ⑥ 痛みはドクドクする拍動性のほか頭全体の締め感のことも多い
    ⑦ 初発平均年齢は6歳(女性は初潮後が多い)
    ⑧ 年齢による片頭痛の質の変化
    ⑨ ストレスとの関係は多い
    ⑩ 年齢が進むと
    ・視覚性前兆が増える・片側性となる・悪心や嘔吐が減少する
    ⑪ 腹痛、嘔吐、下痢などの腹部症状が重症かつ前面に出やすい⇒腹部頭痛
    ⑫ 睡眠との関連が強い、(特に入眠障害)を経験
    ⑬ 乗り物酔いが多い(45%)
    ⑭ 起立性低血圧(座ったり寝た状態から急に立ち上がった時にめまいや頭痛が起こる)を高頻度に合併
    ⑮ 側頭動脈圧迫で症状改善
    ⑯家族歴:75%

  9. Q.群発頭痛は女性は稀ですか?

    A.群発頭痛の発症年齢は通常20-40歳代です。男性に多い傾向(男性:女性=3〜7:1)がありますが、最近は喫煙率の上昇と共に女性が増えてきてます(慢性頭痛の診療ガイドライン2013より抜粋)。尚、群発頭痛の有病率は10万人あたり56-401人程度(0.05〜0.4%)と片頭痛(8%)に比較するとかなり低いです。

  10. Q.妊娠中の片頭痛治療は違いがありますか?

    A.妊娠中は高エストロゲン(卵胞ホルモン)状態になることからが8割の方が、片頭痛発作が軽減しますが、出産後はエストロゲン濃度が急激に低下することから、片頭痛発作が再び起こりやすくなります。以下のように妊娠中は治療を行っています。

    ①鎮静剤
    〇アセトアミノフェン(カロナール®)    FDA危険度分類
    B△メフェナム酸     FDA危険度分類B(妊娠末期は禁忌)
    △ナプロキセン     FDA危険度分類B(妊娠末期は禁忌)
    △イブプロフェン  FDA危険度分類B(妊娠末期は禁忌

    ②トリプタン製剤    鎮痛剤が効きにくい中等度以上時
    △スマトリプタン(イミグラン®、トリプタンの中でデータ多い)FDA危険度分類C
    △リザトリプタン(マクサルト®)

    ③予防薬 なるべく使わない。しいて使うなら
    プロプラノロール
    副作用
    • 禁忌:エルゴタミン製剤(子宮収縮)
    • 控える:NSAIDS

    ④漢方
    △呉茱萸湯

    ⑤制吐剤
    〇プリンペラン
    ×ナウゼリン

  11. Q.授乳中の片頭痛の治療薬は違いますか?

    A.授乳中の片頭痛の治療

    1)ほとんどの薬物が母乳中に移行するが、乳児に移行する量は、投与量の1%以下で影響はほとんどない。
    2)米国小児科学会(American Academy of Pediatrics; AAP)の対応
    2001年に授乳中の薬剤投与に関するガイドラインを公表
    3)国立成育医療研究センターが授乳中に安全に使用出来る薬剤のリストを公表

    ①鎮痛剤
    ◎カロナール(AAPガイドライン及び国立成育医療研究センターで○)
    ○ブルフェン、ナイキサン(AAPガイドライン及び国立成育医療研究センターで○)
    △ロキソニン(AAPガイドラインで○)
    △インテバン、ボルタレン (国立成育医療研究センターで○)
    ×アスピリン(バファリン、バイアスピリン)
    ×エルゴタミン(ジヒデルゴット、カフェルゴット、クリアミン)

    ②トリプタン
    ○イミグラン(AAPガイドラインで○)
    出来れば、授乳8時間中止
    ☆スマトリプタンについては投与後8時間を過ぎるとほとんど母乳中に検出されないという報告
    △レルパックス(国立成育医療研究センターで○)

    ③漢方
    ○呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、五苓散(ごれいさん)

    ④制吐剤
    ×プリンペラン
    ○ナウゼリン(国立成育医療研究センターで○)
    AAPガイドラインでも乳汁中への蓄積性あり。授乳中はさける

    ⑤予防薬
    △β遮断薬(プロプナノロール)インデラール20mg/日程度から開始して,20~60mg/日
    副作用:徐脈、起立性低血圧、眩暈
    禁忌:心不全や喘息、抑うつ状
    △バルプロ酸 400‐600mg
    副作用:眠気、ふらつき

  12. Q.鎮痛剤は片頭痛や緊張型頭痛には有効ですか?

    A.片頭痛にはトリプタン製剤を中心に使いますが,鎮痛剤を使用することもあります。また、緊張型頭痛でも鎮痛剤が有効なことがあります。

    各種鎮痛剤を比較したグラフはこちら(PDFファイルで開きます)

    各種頭痛に鎮痛剤を使われいますが、効果発現までの時間、持続時間、副作用、効果の強さなどを検討して使い分けています。片頭痛にはナイキサンが持続時間が長いためよく使われます。緊張型頭痛には即効性があるブルフェンやボルタレンなどが使用されます。

  13. Q.片頭痛は月経前後に多いですか?

    A.ICHD-IIによると

    1) A1.1.1前兆のない純粋月経時片頭痛
    MacGregor の基準で月経開始2日前から月経3日目までにのみ片頭痛が生じ、ほかの時期に認めない。AmericanHeadache Societyの報告では女性の片頭痛の7-19%にあたる。
    考えられている作用機序は

    排卵前と月経前にエストロゲンが急減

    セロトニンの分泌が激減

    脳内血管が拡張

    頭痛が起こる
    その他、
    ・子宮内膜からのプロスタグランジンを放出
    ・血中マグネシウムレベルを低下
    ・GABAergic減少  が考えられています。

    2) A1.1.2前兆のない月経関連片頭痛
    上記A1.1.1前兆のない純粋月経時片頭痛に加え、その他の時期にも発作がある。AmericanHeadache Societyの報告では女性の片頭痛の35-51%にあたる。これらの頭痛は疼痛が強く、持続時間が長く、再発率が多く、治療抵抗性のことが多いです。頭痛女性患者の半数以上が月経開始2日前から月経3日目までを中心に月経前、中及び後と排卵期に頭痛が集中しています。

  14. Q.片頭痛の人は心筋梗塞や脳梗塞になるリスクが高いですか?

    A.片頭痛の方は特に年間12回以上発作がある場合、虚血性心疾患のリスクが高くなるという報告があります。

    虚血性心疾患のグラフはこちら(PDFファイルで開きます)

    以下は代表的な医学雑誌報告例です。

    1) 片頭痛では頭痛のない人と比較すると約2倍発症率が高いと言われており,特に「前兆のある片頭痛」の方に高い。特に女性に高く、45 歳未満の女性では特に高かった。前兆を伴う片頭痛を経験した人(前兆がなかった人以外)では、頭痛のない人にくらべて心筋梗塞、狭心症、CVD による死亡のリスクが約2 倍高かった。Nature Reviews Neurology 6, 128-129 (March 2010)

    2)前兆を伴う片頭痛のある女性は片頭痛のない女性に比べ、脳卒中リスクが1.5倍であった。さらに、視覚症状を伴う片頭痛のある女性のうち、経口避妊薬の使用および喫煙をしている女性は、どちらもない女性に比べ脳卒中リスクが7倍であった。British Medical Journal、October 29, 2009
    なお、前兆のある片頭痛ではピルは禁忌です。予防薬を使用し、片頭痛患者の将来へのリスクを低下させます。

  15. Q.ピルを飲んでるんですが片頭痛の治療薬のトリプタン製剤は使えますか?

    A.前兆のない片頭痛では、ビルは使えます。しかし、前兆のあるタイプの片頭痛の人は、ピルの使用は原則的に禁止されています。頭痛発作が起こり30分から2時間前に以下の症状が見られる方が片頭痛患者さんの約2から3割に見られます。

    ・閃輝暗点:目の前にキラキラが見えて、拡大する
    ・体の一部がチクチクする、または感覚が鈍くなる
    ・言葉が思うように出ない、話しにくい。

    こういった症状を前兆といいます。5~10人程度と高くありません。

    前兆のあるタイプの片頭痛の人がピルを飲むと、脳梗塞のリスクは7倍に増える、ピルを飲み、その上タバコまで吸ってしまうと、脳梗塞のリスクは10倍にまで増えてしまうといわれています。

    ピルにはエストロゲンとプロゲステロンと2つの女性ホルモンが入っていますが、特にエストロゲンの量は2倍近く違います。ピルを飲んでない場合、体内で急激なエストロゲンの減少が起こると、血管の収縮をコントロールするセロトニンという物質も減り、片頭痛が起こるのです。

    ピルは一般には、3週間服用して、1週間服用を止める(休薬期間)と言う飲み方をします。この休薬期間に片頭痛は起こり易くなります。

    一般的に、前兆ある片頭痛患者はピルは禁忌です。どうしても必要な場合はエストロゲンの含有量を考えピルの種類や投与期間を変えたり、予防接種を短期間使用したり、ホルモン補充療法(HRT)に変更したりします。また、生理痛や月経前症候群(PMS)も考慮し、漢方薬、鎮痛剤、トリプタン製剤を調整します。

  16. Q.片頭痛と高脂血症の関係はありますか?

    A.片頭痛(前兆のある)の方は高脂血症の方が多く、治療により高脂血症も改善されます。

    総コレステロールおよびLDL-コレステロール値が、片頭痛の頻度および強度と有意な正の関連があり、片頭痛予防薬による治療後に、これら血清脂質値が有意に減少していることが発表された。Tana C, et al. Pain Pract. 2015 Sep;15:662-670. Epub 2014 Jul 10.

    同様の論文
    Pain Pract. 2015 Sep;15(7):662-70. doi: 10.1111/papr.12229. Epub 2014 Jul 10.
    また、成人の前兆のある片頭痛の方でコレステロール高い、という論文もあります。
    Cephalalgia. 2011 Oct;31(14):1459-65. doi: 10.1177/0333102411421682. Epub 2011 Sep 16.

    このような論文があります。残念ながらHMGCoA還元酵素阻害剤等が片頭痛の治療にどれぐらい有効は不明ですが、あるお薬の投与が片頭痛を減少させる可能性が論文でも述べられています。

  17. Q.飛行機に乗ると頭痛がします。

    A.飛行機頭痛といいます(10.ホメオスターシスに障害による頭痛)。

    疫学:若い男性に多い
    飛行機の離着陸時に起こる
    片側、眼窩周囲や前額に、突き刺すような痛みが突然出現し、数秒で、ピークに達し30分以内に消失する。涙鼻水を伴うのは4分の1程度。嘔気なし。

    発生機序:気圧の変化、酸素飽和度や湿度の減少など。

    治療:予防的に、2時間前に点鼻薬を使用、離陸1時間前にナイキサン450mgやロキソニン60mg内服。起こりそうになったら、耳抜きとして、つばを飲む、欠伸をする、飴を食べる、ガムを噛む、ジュースを飲む。
    バルサブラ法として、まず鼻をつまみ、次に口を閉じて、息をはく。これも有効です。または耳を左右に引っ張る。

    診断基準:

    A.Cを満たす頭痛が少なくとも2回ある

    B.患者は飛行機に搭乗している

    C.原因となる証拠として、以下のうち少なくとも2項目が示されている

      1.頭痛は飛行機搭乗中のみに発現している

      2.以下のうち一方もしくは両方
        a.頭痛は、離陸後飛行機が上昇するとき、もしくは着陸する前の下降時に一致して悪化している
        b.頭痛は飛行機が上昇または下降したあと、30分以内に改善した

      3.頭痛は重症で、以下3項目のうち少なくとも2つを有する
        a.片側性
        b.眼窩前頭部痛(頭頂部へ拡大することもある)
        c.殴打するような痛み、もしくは刺すような痛み(拍動も起こる)
        d.ほかに最適な「国際頭痛分類第3版β版」の診断がない

  18. Q.週末に片頭痛が多いように思われます。

    A.週末頭痛といいます。
    土曜や日曜に頭痛をおこす片頭痛の患者さんは多く、「週末頭痛」といい、睡眠中に頭痛で目覚める方が多いです。長い寝る、平日によくとるカフェインを摂らなくなる、精神的なストレスから解放されること、週末の飲酒も関係しています。これらが脳の血管を広げて、片頭痛が起こるのです。

  19. Q.片頭痛の時に吐き気があったり吐くことがあります。重症でしょうか?

    A.嘔気、嘔吐は片頭痛の特徴的な症状の一つでしょう。緊張型頭痛単独でで嘔気を伴うことは稀です。片頭痛の発生機序は、まず脳の血管が拡張し、その周囲の「三叉神経」が圧迫され、刺激を受け「痛みの原因物質」が放出され、血管の周りに炎症が起こる。その後、大脳に刺激が伝わり、“痛み”として認識される。この途中で、延髄の嘔吐中枢にも刺激が伝わり、吐き気や嘔吐があらわれます。片頭痛発作時にプリンぺランやナウゼリンなどの制吐剤を併用していますが、
    理由は

    ①胃の動きが悪くなっているので動きをよくしてトリプタン製剤の吸収率を上げる。
    ②トリプタンを吐いて効かなくなるのを防ぐ。
    ③単独でも疼痛を抑える効果も考えられている。
    治療として
    制吐剤:プリンペラン(一般)とナウゼリン(授乳時)を使い分けます。
    また嘔吐等で内服が困難な場合、点鼻薬や注射を使用します。

  20. Q.運動や排便時に頭痛が起こるのですが?

    A.労作性頭痛といいます。

    詳細はその他の一次性頭痛の労作性頭痛(4.2運動時頭痛あるいは4.3性行為に伴う頭痛)をご覧ください。

    何らかの運動で発症するもので以下のような原因で数十分から数時間持続する激しい痛みがあります。

    原因:肉体運動(重量挙げ、空手、ボクシング、水泳、ランニング)、排便、性行為
    症状:5分から24時間持続する両側、拍動性疼痛、全体から側頭部、
    時に嘔気あり、体動、咳、暑さ、寒さ、高地で悪化
    機序:頭蓋内圧の亢進
    検査:CT等でくも膜下出血の鑑別
    治療法:運動前の準備体操
    インデラル投与、インドメタシンなどの鎮痛薬、頭冷やす

  21. Q.片頭痛は女性ホルモンと関係がありますか?

    A.ライフステージにおける女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、FSHとLH)の変化と片頭痛発作の関係をわかりやすく図にしたのが, Simona Sacco等J Headache Pain. 2012 Apr; 13(3): 177–189. Migraine in women: the role of hormones and their impact on vascular diseases です。(図は転載です。下記リンクより御覧ください)

    ライフステージにおける女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、FSHとLH)の変化と片頭痛発作の関係の図はこちら(PDFファイルで開きます)

    月経周期においては排卵期や黄体期後期、妊娠末期、閉経前に女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が減少する時期に一致して片頭痛が増えています。セロトニンの減少を介して片頭痛が増えていると考えられています。 閉経後は頭痛がほとんどなくなります。

  22. Q.ピルを使用しているのですが休薬期間に頭痛がおこります。

    A.ピル使用者の4%に頭痛が発生すると言われています。ピルにはエストロゲンが含まれており、21日間服用し、7日間休薬することが多く、エストロゲン量の低下する休薬期間に頭痛が悪化することが多いです。休薬期間が4日間と短いヤーズを使用するのも一考です。

  23. Q.アロマセラピーは片頭痛に有効ですか?

    A.エッセンシャルオイルが片頭痛の急性期治療に有効であるという論文があります。48人の患者で1グループはラベンダーを15分吸入し92/129(71%)が改善、もう1グループは偽薬としてパラフィン液吸入で32/68(47%)が改善。有意にラベンダーの治療効果が見られたというものです。

    『片頭痛治療でのラベンダー エッセンシャルオイルの効果』
    Sasannejad P1,等
    Eur Neurol. 2012;67(5):288-91. doi: 10.1159/000335249. Epub 2012 Apr 17.
    他に岩波らは『片頭痛患者におけるアロマテラピーの効果』Japan Journal of Aromatherapy,p63-67, Vol15,No1,2015で同様に予防的にはオレンジスイート・グレープフルーツ・イランイランもレラックス効果やレフレッシュ効果で有効であったと述べています。

  24. Q.ホルモン補充療法中に頭痛が悪化します。対応策はありますか?

    A.更年期に頭痛が悪化することが多くみられる。片頭痛ではホルモン量の減少が主な原因であり、緊張型頭痛も多くみられる。またこの時期に更年期障害の治療としてホルモン補充療法(HRT)を受けておられる方も多い。一般的に急激なホルモン量の上昇は片頭痛を悪化させることが多く、新規の使用には躊躇する。しかし、すでにHRTをされている方では、以下の方法で頭痛の悪化を回避できるかもしれない。

    1) 周期的投与を連続的投与に変更(休薬期間中に頭痛が悪化する例が多いため)
    2) 経口剤(プレマリンやジュリナ)から貼付剤(エストラダームTTS,メドエイドコンビパッチ、ル・エストロジェル、ディビゲル)に変える。経口剤より貼付剤が血液中のホルモンレベルが安定化するため。
    3) エストロゲン量を減少させる
    4) 中止する

    エストロゲン/プロゲステロンの不均衡を最小化し、エストロゲンレベルの安定化(estrogen/progesterone imbalance and stabilizing estrogen levels)するとHRTも片頭痛の治療として利用できる。

  25. Q.多汗症の治療薬のプロ・バンサインを使うと頭痛が起こりますか?

    A.抗コリン剤のプロ・バンサインの副作用として視覚調節障害,口渇,悪心・嘔吐,嚥下障害,頭痛・頭重感などがおこります。

  26. Q.片頭痛の人は乳がんになるリスクは高くなるのでしょうか?

    A.いいえ。

    2008年、片頭痛の女性は乳がん発生リスクが低い(33%減らす)と発表された。問題は片頭痛の患者で鎮痛剤(これ自身が乳がん発生リスクを下げる)を使っている人がおり、これが除外がされていないことである。
    Women with Migraine Headaches Have Lower Risk of Breast Cancer

    Researchers from the Fred Hutchinson Cancer Research Center have reported that women with a history of migraine headaches have a decreased risk of developing breast cancer. The details of this study were published in the November, 2008 issue of Cancer Epidemiology Biomarkers and Prevention.(over 2800 woman at the age of 55 – 79).
    Women with migraine headaches had a 33% reduction in the risk of developing ductal or lobular breast cancer.
    These data are intriguing but they do not rule out a role of over-the-counter aspirin and non-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAID) in being responsible for the lowered risk of breast cancer in women with migraine headaches.

  27. Q.梅雨に頭痛は増えますか?

    A.梅雨に悪化する病気は片頭痛のほか、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、水虫、喘息、気管支炎、うつ病、リュウマチ、関節炎などがあります。原因は以下の様にいくつか考えられています。

    ①気圧の低下
    梅雨の時期は気圧が低下しており、ヒスタミン(片頭痛の誘発因子の赤ワインやチーズにも多く含みます)が生産されます。ヒスタミンは炎症惹起物質で炎症反応が強くなるほか、血管を拡張させ片頭痛が悪化します。また、体を緊張させる交感神経を興奮させ、自律神経のバランスが崩れ、血行が悪くなり、首、肩の酸素不足や、疲労物質がたまることが、緊張型頭痛を悪化させます。

    ②日照時間の減少
    太陽光線を感じることで交感神経が優位になり、細菌感染で働く好中球が元気な状態で免疫力が保たれます。しかし雨のため日照時間が短くなると自律神経のバランスが崩れる、気持ちが落ち込んだり(うつ病の悪化)、自己免疫疾患(リュウマ)や関節痛が悪化します。

    ③湿気の増加
    水虫がでやすく、カビの増殖により喘息(梅雨喘息)、気管支炎が悪化します。

  28. Q.片頭痛に良い食品はありますか?

    A.片頭痛によい食品

    1)血管収縮作用があるセロトニンの前駆物質であるトリプトファンを含む食品(100mgあたりのmg)
    かつお節/1000
    大豆/490
    ひしのり(のり)/480
    しらす干し/440
    ごま/370
    カシューナッツ(味付)/360
    本まぐろ赤身生/320
    プロセスチーズ/290
    鶏若鶏むね皮なし/280
    納豆/240
    肉類/150-250
    牛乳/42
    バナナ/10

    2)ビタミンB2(ミトコンドリア病人が頭痛が多いが、ビタミンB2で軽減)200mg/日で効果有
    牛レバー/3
    海苔/2.33
    アーモンド/1.11
    うなぎのかば焼き/0.7
    魚肉ソーセージ/0.6
    納豆/0.56
    いくら/0.55
    卵黄/0.43
    牛乳/0.15
    ヨーグルト/0.14
    ※チョコラBBプラス(38㎎×2錠/日、60錠1280円)も有効です。

    3)血管の収縮をおさえるマグネシウム。1日400mgのマグネシウムを補充すれば改善します。
    食 品(100g)

    ■植物性
    ほしひじき(620mg)
    削り昆布(520mg)
    ピュアココア(440mg)
    カットわかめ(410mg)
    いりごま(360mg)
    アーモンド 乾(310mg)
    焼きのり(300mg)
    大豆(国産)乾(220mg)

    ■動物性
    さくらえび、素干し(310mg)
    まいわし、丸干し(110mg)
    あさり(100mg)
    いくら(95mg)
    はまぐり(81mg)
    かき、養殖(74mg)
    きんめだい(73mg)
    はまぐり(81mg)
    ししゃも(57mg)
    ビーフジャーキー(54mg)
    パルメザンチーズ(55mg)
    ※カルシウムも一緒に摂るように(マグネシウムはカルシウムと共同で働く)

    4)活性酸素の毒性を解毒するラジカル・スカベンジャーを含むラクトフェリン

  29. Q.頭痛にエッセンシャルオイルは効果ありますか?

    A.以下のエッセンシャルオイル(精油)が頭痛に有効です。

    ① 片頭痛と緊張型頭痛の両者に有効(鎮痛作用)
    ・ラベンダー:リラックス
    ・ベルガモット、クラリセージ:筋肉の緊張をほぐす。
    ・ペパーミント:熱いものを冷やし、冷たいものを温める
    ・ローズマリー:効果が緩徐

    ② 片頭痛のみ有効
    ・ユーカリ:冷却作用あり
    ・ゼラニウム:女性ホルモンを調整

    ③ 緊張型頭痛のみ有効
    ・ジュニパー:筋肉の緊張をほぐす。

  30. Q.アイスクリームやカキ氷を食べると頭痛がします。頭痛を感じなくする方法はありますか?

    A.その症状は、アイスクリーム頭痛といいます。

    詳細はその他の一次性頭痛のアイスクリーム頭痛を参照してください

  31. Q.どのような人が頭痛外来を受診するのですか?

    A.以下のような症状がある方は頭痛外来を受診してください。

    1.片頭痛が来ると心配なので、毎日のように鎮痛剤を飲んでいる。

    2.頭痛がおこったら薬局で痛み止めを買ってのんでいる。

    3.生理の前後や排卵期に頭痛がする。ピルを飲んで頭痛が悪化する。更年期で悪化している。婦人科の薬を飲んでいる、子宮や卵巣の手術をしている、ホルモン補充療法をして悪化している。

    4.肩こりからくる頭痛に悩んでいる。

    5.小学校や中学校の子供が頭痛持ちだ。

    6.妊娠中や授乳中で頭痛はあるが、薬を飲まないで我慢している、あるいは悪化している。

    7.検査でCT(MR)をして異常なかったが、薬など治療は受けなかった。診断名を聞いてない。漢方を数ヶ月飲んでいるが効果が見られない。

    8.病院で片頭痛の薬をもらったが、あまり効かない。

    9.親や兄弟姉妹が頭痛持だ。

    10.交通事故後頭痛やめまいが治らない。

    11.目が見えにくくなったら、キラキラ見えてから頭痛がする。

  32. Q.予防薬で頭痛の回数を減らすのはなぜ有効ですか?

    A.片頭痛の方は将来、脳梗塞や心筋梗塞になる可能性が高く、40歳以降でめまいや、耳鳴りが増える、脳過敏症候群になりやすいと言われています。デパケンを初めとした各種予防薬を連日投与して頭痛の回数を月4回以下に3か月以内で減らすようにします。

    片頭痛がない方の脳は石でできており、片頭痛の方の脳は豆腐だとします。チョット触るだけで痛みを感じます。この柔らかい脳に予防薬を投与するとだんだん石のような硬い脳になります。そうすると金槌で叩いても痛くなくなる、すなわち頭痛の回数が減ります。尚、予防薬は一生飲む薬ではありません。

  33. Q.頭痛にめまいは伴いますか?

    A.頭痛にめまいを伴うことがよくあります。

    ・片頭痛では回転性めまいを伴うことが多く、片頭痛関連性頭痛と言います。頭痛発作の数日前から数時間前まで、あるいは頭痛発作時、頭痛間欠時にもめまいがみられます。めまい患者の4割が片頭痛持ちといわれてます。また、片頭痛患者の2割にめまいを伴います。

    ・緊張型頭痛では6割にめまいを経験したことがあり、大部分は浮遊性めまいです。

    ・小脳出血では6割にめまい、特に回転性めまいを伴うことが多いです。

    ※CT等で腫瘍や出血などがないか鑑別が必要です。

  34. Q.頭痛に伴ってみられる症状(随伴症状)には何がありますか?

    A.悪心・嘔吐、下痢、悪寒、発熱肩こりや首こり、めまいやふらつき、光・音・におい敏感などをよく伴います。

  35. Q.排卵日のころに頭痛がみられるのですが、関連はありますか?

    A.はい。排卵期に頭痛で悩まれている女性が多いくおられます。排卵に伴い女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することがセロトニン分泌に影響し、血管が拡張することによって片頭痛が起こってる可能性があります。また排卵期には、他の体調の不調を訴える方が多く、肩こりもその1つです。自律神経のバランスが乱れることによって筋肉が緊張し肩こりがしょうじやすくなります。また、片頭痛随伴症状として肩こりはよくみられます。
    MgやCaのサプリメント、大豆製品を多くとる、ストレッチや自分なりのリラックス方法を実践してみて下さい。低容量ピルを服用し排卵を抑制する。
    排卵日に頭痛がある方は、片頭痛の可能性が高いので、頭痛外来を受診されて下さい。

  36. Q.肩こりが酷くなり頭痛が始まります。緊張型頭痛でしょうか?

    A.片頭痛の70%に肩こりを伴うと言われてます、今から頭痛が始まる予兆の一種として、肩こりが起こっていると考えられます。その後1時間から1,2日して頭痛が始まります。緊張型頭痛との違いは診察して総合的に判断します。

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